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尾形 孝一

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資 格 司法書士、東京司法書士会会員、元東京地方裁判所次席書記官

「主人よ有り難う」

(ある相続事例ノートから)紫光記 

 私花子は、4人兄弟の長男太郎と結婚して50年になるところでした。自営の夫太郎と頑張ってきて、太郎名義の土地・家屋などの財産もできました。しかし、子供には恵まれませんでした。
 ところが、太郎は心筋梗塞で平成18年2月1日に急逝してしまい、私1人を残して往ってしまいました。
法事のあと、親戚から相続、遺言とか相続税なんて話がでました。
夫の兄弟から、ちらほら兄弟にも相続分があるようなことも出ました。夫は、平素から「俺が死んだら財産は全部おまえにやるよ」と言っていたのに。
 調べてみましたら、妻の私が4分の3、夫の兄弟姉妹が4分の1の相続分とわかりました。法事のたびに、兄弟姉妹から土地・家屋の名義はどうするの、ゴルフ会員券はどうするの、どこの株券を持っているの、自動車はどうするのとか聞かれるようになりました。
 夫は長男でしたので、早くから上京し弟や妹の面倒を見、なにかれと独立を援助してきたのに。そして、皆、自分の不動産を持っているのに。
 そんな折り、夫の机の奥の方から封筒の遺言書(直筆証書遺言)が出てきました。近くの司法書士の先生に相談しましたら、家庭裁判所の検認手続きをした後に土地・家屋などの登記ができるとの説明を受けて、夫の墓守と私の老後を考えるようになりました。
その中味は、全財産を私に相続させる内容でした。
その折りの説明では、私と夫の兄弟姉妹の全員で作成する遺産分割協議書でも全財産を私に相続させることができるが、全員の合意が必要なので本事例では難しかったと言っていました。
 その後、夫の兄弟姉妹と顔を合わせることは少なくなりました。
でも、遺言書を作ってくれた「主人よ有り難う」。

紫光さんとは:−
本名 : 尾形孝一
司法書士、元東京地方裁判所書記官